古本屋で、金子タカシ『寄せの手筋168』と島朗『角換わり腰掛け銀研究』と森下卓『現代矢倉の思想』その他棋書を1900円で購入。『角換わり〜』はどの程度の値段がついているのかよくわからないが、『寄せの手筋168』と『現代矢倉の思想』はどちらもアマゾンのマーケットプレイスで5000円以上の値が付いている名著。
売る気はないが、うれしい。もちろん所有欲・収集欲的な意味で。


『寄せの手筋168』の問題をネット上に無料で公開することはどうにかしてできないだろうか、と考えている。
もちろん内容をそのままネット上に転載して無断で公開することはできないが、例えば、僕が『寄せの手筋168』を含む様々な棋書から寄せの問題を集めて、それらをまとめて公開するようなことは可能だろうか。
このような問題集は、第一に問題を集めたデータベースとしての著作権があると思われるので、僕が色々な本から問題を集めて新たにまとめれば、僕が新たに作り上げたデータベースということになり、著作権の侵害にならないのではないだろうか。
例えば、Chess: 5334 Problems, Combinations and Gamesは、電話帳のように厚い問題集だが、著者の5000冊にのぼるチェス書籍のコレクションが活かされているという(問題をどの程度引用しているのかはわからないが)。
しかし、問題一問一問に、作問者の著作権があるとすれば、いくら僕が新たにまとめようと、問題自体の著作権を侵害していることになってしまう。
しかし、例えば「盤上の駒は後手の21玉のみ、先手の持ち駒が○と○と○、後手玉に必死をかけよ」というような問題に著作権があるのかどうかは微妙だと思う。
しかし伊藤看寿の「玉方11玉、先手持ち駒飛金2銀」という有名な裸玉の詰将棋作品は、彼の創作だろうし、「単純な問題だから著作物でない」とは言えないようにも思う。
「盤上の駒は後手の21玉のみ、先手の持ち駒が○と○と○、後手玉に必死をかけよ」という作品も、有名であるとは言え、作者の思想を個性的に表現しているのかもしれない。
それに、『寄せの手筋168』に載っている問題は、そのような創作性があるのか微妙な有名問題ばかりではない。


というわけで、まあどうやらネットに公開するのは、著作者の許可をとらないと難しそうである。
しかし、ダメもとで交渉してみる価値はあるかもしれない。


いや、何でこんなことを考えているかというと、この『寄せの手筋168』が、「この本で強くなった」という声が多いらしい名著(里見香奈もどこかで推薦していた)であるにもかかわらず、絶版になっていて、これに代わる本も少ない(寄せが見える本 〈基礎編〉 (最強将棋レクチャーブックス (1))寄せが見える本〈応用編〉は結構近いっぽいけど)という現状、そして、ネット上で無料で利用できる日本語で書かれた教材(将棋に限らず、数学であれ何であれ)があまりに少ないという現状が、どちらも情報をオープンにするという視点から見て、腹立たしいから。
特に後者は深刻だと思う。
この本をネット上で公開するというのは無理だとしても、この本と同程度もしくはそれ以上(量的・質的に)の問題を集めた問題集をネット上で公開する方策については考えていきたい。